症例紹介

顎関節症でマウスピースが手放せず
ひどい肩こりに悩んでいた患者さん

【case14】Aさん 40代女性の症例
顎関節症でマウスピースが手放せず<br>ひどい肩こりに悩んでいた患者さん

Aさんは、歯周病のメインテナンスのために当院に通っていました。
アゴの関節にお悩みがあるようでしたが、それについては他の病院の先生に診ていただいていて、マウスピースをお使いでした。

通院してから長く経ったあるとき、アゴのことについてお話してくださいました。
噛むところがわからず、アゴがガクガクする、肩こりもひどい。それゆえ寝るときにマウスピースを使用しており、マウスピースが欠かせないとのことでした。マウスピースをせずに寝ると、目覚めた際にアゴと肩が物凄くだるくなるそうです。

一度アゴの観察をさせていただいていいですか?と確認の上で観察してみました。
首回りや咀嚼筋を触診すると随所に痛みがありました。また、アゴを開け閉めして閉じてみると、歯の一部分が当たってから、ズレながら噛みこんでいました。

咬み合わせと顎関節は関係しています。

歯はあごの骨にくっついているので顎関節と繋がっています、噛み合わせに問題があると、顎の関節の位置や動きも正しくなくなってしまいます。

そこで、顎を良いポジションに位置づけるための道具としてマウスピースがあります。しかしながらマウスピースでは四六時中装着することはできず、食事をすることもできません。あくまで就寝時や安静時の補助具です。

「関節円板」を正常に戻した前提において、自身の歯の咬み合わせそのものが正しくなれば、アゴ関節の問題は解消されます。

そこでアゴ関節の診断を行い、咬み合わせの模型診断を行いました。
アゴ関節のトラブルで関節円板の位置異常がよくあります。Aさんには関節円板の位置の問題はなく、有害な咬み合わせのみがたくさん見受けられました。

ちなみに、関節円板の位置異常が見受けられるときは、関節円板を正しい位置に整復し、それから模型診断します。


模型診断での診断では、関節位から上下歯を閉じた時に、一部の歯だけが当たり、そこからさらにズレながら噛みこんでゆきます。しかも最終的には全ての歯で噛めていません。
咬み合わせの異常には、一分の歯しか当たらず不安定な咬み合わせや、横に歯ぎしりした際に奥歯には当たってはいけない有害な咬み合わせがあります。Aさんは奥歯が著しく有害に当たる咬み合わせであることがわかりました。

咬み合わが悪い場合、正しい咬み合わせを構築する方法は
・咬み合わせを調整する
・歯列矯正をする
・被せもので歯の形を変える
・上記の組み合わせ
の4つです。

咬み合わせの診断とシミュレーションを行いました。
Aさんの場合、模型上でわずかな調整をすれば、正しい咬み合わせが作れることがわかりました。

関節位での咬み合わせの記録
関節位でドイツの咬合器にマウントされたAさんの模型
青いところだけが上下であたっている場所
横にずらしたときにここが大きく当たってはいけない
裏側の様子、奥歯が急角度で大きく当たっていました
調整のシミュレーションで全体に当たり、有害な咬み合わせがなくなることがわかりました。

模型を使って説明の末、咬み合わせの調整は自費治療になりますが、どうなさいますか?とお聞きしたところ
即答で「やります。」とのお返事でしたので、咬み合わせを調整させていただきました。
調整は、削る量としてはごくわずかですが、アゴの位置を誘導しながら、咬合理論に則って繊細に調整します。Aさんのケースは難症例であったため1時間ほどかけて行いました。

術前は、口をカチカチ閉じても一部の歯しか当たらなので、ガクガクと濁った音しか聞こえません。治療後は全体の歯が同時に当たるので、歯からカツッ!カツッ!と高い音が響きわたるようになります。
患者さんにも音の違いを感じていただけますし、治療を終えて噛むのが楽になったそうです。
治療の当日からマウスピースの使用はやめてもらいました。

それから1ヶ月後、
肩こりもずいぶん楽になり、今ではマウスピースなしで寝ても、顎や肩のだるさがなくなりました。
カチカチしても咬む所が定まって迷いがなくなってきているそうです。

有害な咬み合わせだと、口を閉じる毎にアゴの位置がズレて、いい位置を探ります。アゴは頭に位置しアゴの位置がズレると反作用で頭位がずれるので、頭位を支えるために首や肩の筋肉が毎回緊張します。
治療前に、「咬み合わせ治療をすれば、肩や首のコリがなくなりますか?」とAさんから質問されました。
私は、「私は咬み合わせを正しい位置にし、有害な咬み合わせを取り除くだけです。ただそれを行うだけであって肩や首を治すための治療ではありません。ただし、治療をすれば2次的に肩や首のコリがなくなる方は多いです。」とお答えしました。

少し不安をお持ちであったのに、どうして治療を受けようとおもったのかお聞きしました。

手術や矯正も必要であることを以前ほかの歯科で聞いており、将来いつかしなければとは思っていたそうです。
決して安い治療ではないけれど、手術や矯正に比べると簡単であったこと、治療や学んできたことの説明が納得いくものであったからだそうです。あと治療に情熱があることがわかったので、ウソではない(笑)と思い治療をされたそうです。

治療から1か月

■治療期間と費用
・治療期間:2回の来院
・費用:検査1~5万円、治療15~20万円が顎関節症の標準的な費用です。いずれも自由診療です。

■リスクと副作用
・歯を均等に噛ませ、有害な咬合をとり除きます。肩や首を治すための治療ではありません。
・咬合調整は歯の表面を一層を削ることで、今よりも均等に噛ませ噛み合わせのバランスを良くする治療、つまり引き算の治療です。歯の形を足す治療つまり足し算の治療や歯列矯正の必要がある場合はこの治療では対応できません。歯を足すとは、詰める被せる事で歯の機能を追加することを意味します。検査では噛み合わせを良くするのに、引き算の治療で出来ることをご自身の模型を使って説明します。その際歯を足す必要が生じるのか否か、矯正治療の必要が生じるのか否かを含めた説明を行います。

・咬合理論に則った診断に基づかない適当な咬合調整は、顎関節に悪影響を及ぼす恐れがあります。

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