60代女性の長期的な耐久性を考えたAll on 4治療
人生100年時代といわれる近年、60代女性の残りの人生は40年です。
短いようで長いと思いませんか。
60代の今だからこそ、悪くなったところだけを治して5年や10年後に壊れるような治療を行うのではなく、残りの人生をこの治療で乗り切れるくらいのものにしてほしいと考えています。
老後の備えとしての歯科治療は、「余生」と「治療にかかる費用と時間」を考えると、60代から70代前半に行うのがベストです。 というのは、70代はまだまだ元気で衰えを感じていたとしても、人生を存分に楽しめる時間が十分にあります。
5年や10年後に壊れるような治療は、高齢者(80代)になってから大きな歯の再治療が必要になります。 80代90代は体力面、全身状況、他の病気の影響で、妥協的でその場しのぎの治療すらできません。
しかしながら、80代90代の高齢者の生活の質は食生活が最重要になります。高齢になり自分で出かけるのはせいぜい家の近所だけになるけれど、一日の楽しみといえば食事くらいしかなくなる、といった話を多くの高齢患者さんから聞きます。
高齢者になり治療中に噛めない時期が生じた場合
若い頃は、少々食べられなくて体重が減ってもすぐに元の体重に回復します。 高齢者は食べられなくて体重が減ると一気に衰弱し体重が元に戻ることはありません。 筋弱してしまう危険性が高く、命を失い兼ねないのです。
では残りの人生をこの治療で乗り切れるくらいの治療とはどんな治療なのでしょう。

写真は68歳女性の口の中です。
左上奥歯3本が壊れたので治してほしいと来院されています。
口の中全体を見ると、悪くなった歯、神経治療で弱くなった歯が多く見られました。
弱い歯を残すよりもすべて抜いて、新たに丈夫なインプラントで支えたブリッジの方が丈夫なのです。
ご自身も何とかしたいと思われていましたのでAll on 4で治療を終えています。
通常上の歯だけもしくは下の歯だけの場合、 4本のインプラントがあれば、上の歯すべてを一つのブリッジで作ることが出来ます。
万一、高齢になってインプラントのブリッジがダメになったとしても、
① まだ使える部分のインプラントだけを使って、例えば右が悪ければ左だけを使って人生の最後まで使いつぶす。
② 一部のインプラントの入れ直しをする、もしくはブリッジを作り直して、使って行く。
③ ブリッジを外して総入れ歯を作る。まだ使えるインプラントがあれば入れ歯の安定のためにインプラントを補助的に活用する。
と、しっかりと乗り切れます。
反対に数本の歯を残して、天然歯とインプラントを共存した設計にすると残した歯のトラブルの対応と、その都度の出費に追われてしまいます。 計画性もなくその場その場で簡単な治療を続けた結果、超高齢になってからとんでもない状況に陥っている高齢者にときどき遭遇します。
患者さんや家族は、満足に噛めずに衰弱している現実に向き合いながら治療は簡単に終わるであろう。
くらいの安易な気持ちで来院されます。
超高齢者の危機的に噛めない状況からの歯科治療は、超高齢であるがゆえに新しい入れ歯にも順応できず、栄養摂取不足から更なる衰弱を招きかねません。
超高齢者の歯科治療は危険で死と隣り合わせなのです。
このような危機的な状況になる前の、体力のある間にしっかりと老後の備えをすることが重要です。
人生の最期に備えて、残されたものが困らないようにするための終活も大事ですが、最後まで自分の歯で食べて歯で困らない人生を貫くための、「お口の終活」もお忘れなく。
私で良ければ相談してください。
難しいとあきらめている方歓迎します。
永井歯科ではインプラント・入れ歯・ドイツ式入れ歯に関する様々な情報をお伝えしています。
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