高齢者と歯科治療の適正年齢~人生100年時代を生き抜くために、歯科の立場から~
高齢者とは、何歳をイメージしますか?
高齢者といっても、前期高齢者と後期高齢者の2つに分類されます。
前期高齢者は65歳以上75歳未満。後期高齢者は満75歳以上です。
東京大学高齢社会総合研究機構の秋山先生が行った全国高齢者20年の追跡調査によると、約7割の高齢者が75歳(後期高齢者と呼ばれる年齢)を境に徐々に自立度を低下させ10年ほどかけて、ほぼすべての日常生活に介助を必要とすると、示されています。
これは今までは通院できていたほとんどすべての患者に起こり、多くは通院不可能となるのです。
この自立度の低下の原因となる身体機能の低下や認知機能の低下は、口腔機能の低下の原因と結果にもなりうるのです。
―寿命と歯の関係
私は仕事柄50代から70代の患者さんとお話する機会が多いです。
人生100年時代となりましたが、皆さん口をそろえたかのように「80歳くらいまで生きることができたらOK」とおっしゃいます。
実際には、60代70代になっても若々しく健康な方の多くは90歳100歳を普通に迎えます。
秋山先生の調査でもわかるように90歳100歳近くになってくると日常生活において、なんらかの人の介助が必要になってくるのが殆どです。
介助が必要になっている高齢者の唯一の楽しみとは、食事だそうです。反対に食事くらいしか楽しみはないそうです。
80代になると、頭の柔軟性がなくなり、コミュニケーションがうまく取れなくなります。
身体的には体が思うようにいかず、治療で歯を思うように動かすことも徐々に難しくなります。
高齢者の特殊性として、入院や歯科治療で運動や食事に制限がかかると一気に衰弱し、若い時のように思うように回復することはありません。
若い頃であれば、生活習慣病の予防のためにダイエットをし、肉より野菜をとるような生活を少々したとしても健康の回復は簡単であり、そもそも健康が失わることすらありません。
しかし、ご高齢者になると痩せるイコール死に簡単に近づいてしまいます。
健康は「ストレスなく食べる」ということにフォーカスするべきです。
口腔機能を維持することで偏りのなく必要で十分な栄養を摂取でき、それが健康長寿にもつながる。
口腔機能を維持するためにも、最後の歯科治療は元気な間にきちんと行うことをお勧めします。
元気な間とは個体差はあるにせよ、栄養で簡単に体調が崩れることがない75歳までがベストだと思います。
前期高齢者だと、体力もあり余生も20年以上はあることでしょう。治療に時間と費用をかけても十分に残された人生を楽しむことが出来ます。
万一、75歳以降に歯が失われ多としても、
- 今ある入れ歯をそのまま活用する
- または残っている歯だけを使う
といった省エネ・節約モードで大きな歯科治療からは逃げ切ることができる。
そんな状況で80代90代を迎えるのがベストです。
つまりは80代や90代で大きな歯科治療を行うのでは遅いのです。
実際には治療を行うことはあるものの、想像以上にリスクを伴いかねません。治療とは噛めるお口にする行為ですが、治療途中には多少のダウンタイムを伴います。このダウンタイムは高齢者の衰弱に直結する恐れがあるのです。
歯はストレスなく食べることに大きく影響し、高齢になるとことさら丈夫な歯が重要になるのです。
お口の中がボロボロ・ガタガタで、お困りの方であるとか、いくらやってもなかなか噛めない方、いわゆる難症例でお困りの方。
私で良ければお手伝いさせていただきます。
兵庫県尼崎市にあります永井歯科・矯正歯科までお問い合わせください。
Das Beste, oder nichts 「最善か無か」
治療について詳しくご覧になりたい方は、永井歯科HPをご覧ください。