将来のインプラント・入れ歯治療に対して無駄な抜歯は避けるべき理由
50~60代といえば、体力的な衰えを感じつつもまだまだ若く、残された40~50年の余生を楽しく自分らしく充実したものにしたい年代です。
YouTubeにて動画でわかりやすくご説明していますので、ブログと併せてご覧ください。
【50代・60代】抜歯をするときの注意点
抜歯は一般にどこの歯科医院でも日常的に行われます。
もしも将来インプラントをすることになるのならば、すこし注意が必要です。
大事なことはその歯を抜いた後、どのタイミングでどのようにその失われた部分を補っていくか
そのことを事前にしっかりと計画し、抜歯することです。
できることならそのインプラント治療を行う先生が行うのがいいと思います。
「残せないから、とりあえず抜く。あとからインプラントのことは考える。」ということは、あまり宜しくないと思います。
なぜなら、抜歯後、時間が経ってしまったが為にインプラント治療が困難になってしまうケースは以外に多いからです。今後インプラントをすることが絶対にないのであれば問題はありません。
でもほんの少しでもインプラント治療を受ける可能性があるのであれば、抜歯はそのインプラント治療を行う歯科医院で行うほうが無難です。
歯を抜くと3か月ほどで歯を支えていた骨はほとんど吸収し、骨が細くなります。
骨が吸収するとインプラントを埋めるための骨は失われるので、インプラント治療は簡単には行えず治療の難易度は格段に上がります。この吸収は特に前歯に強くでます。
そうなると通常のインプラント手術だけではなく、骨を作る手術や歯肉の移植が必要になるケースが多くなります。
それに伴い治療期間も費用負担も手術による体の負担も増えます。
インプラントを専門的に行う歯科医院の多くは、抜歯をする際その先のインプラント治療が困難な状態に陥らないような説明や工夫がなされます。
抜歯即時インプラント
1つ目は、抜歯したその場で抜歯した穴にインプラントを埋め込む方法です。この際骨の吸収予防でインプラント周囲に薬の骨が入ります。手術回数も1回で済むので手術の負担も大幅に減少し、多くの場合インプラント手術当日に仮歯が入ります。
この方法は抜歯即時インプラントまたは抜歯即時修復:イミディエイト・インプラント・プレイスメント、イミディエイト・プロビジョナライゼーションと呼ばれます。
歯槽骨温存療法
2つ目は抜歯と同時に薬の骨だけを入れる方法です。抜歯した穴に骨の吸収が少なくなる薬の骨を詰めてその上を特殊な膜で覆います。
そうすることにより、あごの骨は痩せないので、その後直径約4ミリのインプラントを入れるのに十分な厚みを持たせてインプラントをすることができます。こうすると抜歯した場所の骨のボリュームは維持され、その後のインプラン治療は簡単になります。
骨を失われないことで、手術の負担や費用負担も軽減されます。
この方法は歯槽骨温存療法:ソケット・プリザーベーションと呼ばれています。
事例・症例
外傷を受けて、口腔外科で保存不可能との判断で抜歯をした状態で、永井歯科を受診された患者さんです。
これまで健全に歯があった場所に、手術負担を少なく綺麗にインプラントを入れるには、骨の吸収の及んでいない抜歯から2か月以内がタイムリミットです。
出来れば一刻も早く治療を行う必要があります。大急ぎで精査、治療計画の提示、自由診療の費用負担も含めた患者の同意を得て、治療を行いました。
インプラント治療では少なくとも数十万円の治療費がかかるので、患者さんが短期間で治療の説明を受け判断し治療の決断をすることは、大きな負担になると思います。
この場合まずはグラグラの歯は抜かずに、なんとかして応急処置だけに留めるのが良いと思います。そうすると患者さんはもう少し余裕をもってインプラント治療の決断が出来たであろうと思います。
また別の60代の患者さんの事例です。
前歯3本が駄目になったので歯医者さんで3本抜歯し健康保険の留め金式の入れ歯を入れられていた患者さんです。
入れ歯は気持ちが悪く発音も食事もしにくい。インプラントを考えたいと当院に相談に来られたのです。
抜歯してからかなりの時間が経過しています。
骨は薄くなり、インプラントは入れにくい状態でした。
当院で提案した治療案は2つです。
1つ目の案はインプラントです。
しかし抜歯してからかなりの時間が経過しています。
歯を抜いた場所の骨が既にとても薄くなっているので、インプラント治療の前に骨を沢山作る手術を行います。
6か月後にインプラントを入れて歯肉の移植手術も必要です。治療期間は3本分の治療だけですが1年強要します。費用は200万円弱になります。治療が複雑で手術にともなう腫れや痛みも通常のインプラント治療よりも大きいことが予測されます。
2つ目の案はブリッジです。
両隣の歯を4本削って4本の歯で合計7本分の歯を支えるブリッジの設計です。
ブリッジをするならばセラミックが第一選択で期間は2~3か月です。費用は100万円前後かかります。こちらの方がインプラント治療に比べて腫れも痛み、更には出費も少なくなります。
患者さんは健康な歯を削ることには抵抗をかなりお持ちでしたが、インプラント手術負担と費用負担を考えた上でのしぶしぶの選択となりました。
始めからインプラントを専門的に行う歯科医院で説明を受け治療計画と抜歯を行えば、ここまで大がかりではなく簡単にインプラント治療を行うことが出来たであろうと思います。
また、仮にブリッジ治療を行う上でも、歯を抜いたところに、ソケットプリザーベーションや歯肉移植などインプラント治療で行う処置を併用すれば、歯肉が著しく凹むこともないので見た目の仕上がりは各段に良くなります。
まとめ
歯を抜く前に治療法をしっかりと計画し、しかるべきタイミングで抜歯をすることはとても大切だと思います。
歯医者さん選びは難しく、どこの歯医者に行けばよいかわからないと皆さんおっしゃいます。
私でよければ、お手伝いさせていただきます。
Das Beste, oder nichts 「最善か無か」
永井歯科ではインプラント治療に関する様々な情報をお伝えしています。