症例紹介

80代女性。上下総入れ歯『入れ歯が食事中に動いて外れる』を解消したい

【case72】80代女性の症例
80代女性。上下総入れ歯『入れ歯が食事中に動いて外れる』を解消したい

インプラントを入れて上下総入れ歯を作られていますが、入れ歯が食事中に動いて外れることでお困りです。
入れ歯が外れずに食事を取りたい。ということです。

上に1本、下に2本のインプラントにコーヌステレスコープという入れ歯を外れなくする維持装置が装着されています。

コーヌステレスコープとは、内冠と外冠の二重冠構造で茶筒のようにぴったりと重なるように出来ています。
土台となる歯に内冠という金属冠をかぶせ、外冠と一体となった義歯とが重なり合うことで、入れ歯の揺れを防ぎます。

Mさんは上下が今のコーヌス総入れ歯になって以来、入れ歯が外れることで悩まれています。
では何が原因なのでしょう。

ポイントは3つです。

① 粘膜負担
② コーヌステレスコープの位置難易度
③ 噛み合わせ

1つずつ見ていきましょう。

① 粘膜負担

総入れ歯の場合、噛み合わせた力は入れ歯が全体に沈み込んで粘膜(歯茎)に密着する設計になります。
Mさんのように左側だけにインプラントのコーヌステレスコープをすると、入れ歯の左側だけが沈み込まず、入れ歯が密着するのをインプラントが妨げる傾向があります。

② コーヌステレスコープの位置

コーヌステレスコープにはやってはいけない位置がいくつか あります。
その一つが、歯列を真ん中で横断し2本の歯で入れ歯を支える2点支持です。

この入れ歯を支える2点が軸になり、前後にシーソーのような揺れを起こします。
間違った位置でコーヌステレスコープを設計すると入れ歯に揺れが生じます。

Mさんの下の入れ歯のコーヌステレスコープは、シーソー現象が生じ不安定になる位置になります。

③ 噛み合わせ

入れ歯の噛み合わせは前後左右に歯を動かしても常に歯列全体が均等に噛めて、入れ歯が転覆しない噛み合わせが重要です。専門用語でいうところの両側性平衡咬合です。

写真からわかるように、上下で噛み合わせたとき隙間があります。
となるとこの入れ歯は、左右にずらすと全体が均等に当たることはなく、1本の歯だけが当たり他の歯は全て当たらずに入れ歯が転覆します。

そこで3つのポイントに注意して、次の入れ歯の設計を考えました。

入れ歯が粘膜に密着するように上のインプラントは抜かず、そのまま休眠させました。
コーヌステレスコープを外して単純な総入れ歯にすることで粘膜への均等な沈み込みを期待します。

下のインプラントはコーヌステレスコープを外し、ロケーターという裁縫のスナップのような働きのパーツに交換しました。入れ歯が最も沈んだ状態でロケーターと入れ歯をくっつけます。

上下の入れ歯は、ドイツシュトラック総義歯を作り、前後左右に動かしても入れ歯が転覆しない噛み合わせを与えます。
更に下の入れ歯はロケーターとつなぐことで入れ歯の横揺れと浮いて外れるのを防止します

但し、左のインプラントは物凄く傾斜した方向に入っていたので、ロケーターには不利な方向に入っています。
ロケーターがどうしても安定しない場合、インプラントを傾斜させない方向にもう一本だけ追加で入れる約束をしておきます。

こうしてお作りした入れ歯がこちらです。

インプラントは追加しなくても入れ歯は安定しました。
治療前後で書いていただいた、入れ歯のシートにおいても一定の結果が出たので、良かったと感じています。

入れ歯の安定とは、設計に始まり設計に終わります。

私で良ければご相談ください。

永井歯科ではインプラント・入れ歯・ドイツ式入れ歯に関する様々な情報をお伝えしています。
詳しくはHPをご覧ください。


■治療内容

上下:シュトラック総入れ歯
ただし下は、2本のインプラントでズレなくした2インプラントオーバーデンチャー(2IOD)
模型診断・入れ歯調整・パーツ・最終入れ歯製作のための仮歯を含む

■治療期間・回数

4か月・7回

■費用

¥2,640,000(自由診療)

■リスク・副作用

インプラント手術は高齢や持病によってはできない場合もあります。
清掃を怠るとインプラント周囲炎が起こることがあります。

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