症例紹介

「痛くなる前のように噛みたい。
もう食事で苦労したくない」

【case11】Aさん 40代男性の症例
「痛くなる前のように噛みたい。<br>もう食事で苦労したくない」

Aさんは8年以上前から当院に通っていました。40代の男性です。

治療後:現在の入れ歯(ドイツ式)の口もと
治療前:保険の入れ歯の頃

 

来院当初のAさんは右下の奥歯が痛いということでした。歯周病です。
歯が痛いので日常の食生活においてAさんは苦労をされていました。昼は例えばうどんや サンドウィッチなどの柔らかいものを選んで食事し、夜は家族とは別メニューでAさんが食べ易い様に工夫した料理を奥様が作っていました。

歯周病の検査をするとポケットも深く、出血もありシビアな歯周病でしたので、歯周病の対応を行ってきました。時折あちこちに激しい痛みや動揺が生じ、その都度痛んだ部分の対応を行っておりました。
咬み合わせにも問題はありました。前歯の重要な役割として奥歯を守る役割があるのですが、Aさんにはその役割を担える咬み合わせがありませんでした。咬み合わせが悪いと歯周病は悪化します。
歯周病で失われた骨を回復するには、歯周病治療だけではなく歯周再生療法と咬み合わせの大幅な改善が必要になります。
人工の骨や当時は輸入薬を使った歯周再生療法になります。輸入薬による歯周再生療法も、今回必要となる咬み合わせの改善も健康保険では認められません。
これらの再生療法と咬み合わせの治療のご提案をしました。Aさんとは時間をとっていろいろ話し合いました。相談の結果、当時はそれらの治療は行わずに、まずは健康保険でできる対応を都度行うという選択に至りました。
昔入れたブリッジがぐらぐらになって抜けると、次はそこに健康保険の入れ歯を入れました。しかし治療をしているにもかかわらず歯列の崩壊は徐々に進行しました。保険診療の部分入れ歯は留め金をかけて固定します。すると今度は留め金をかけた歯がぐらぐらになって抜けていきました。

随所で歯を支えている骨が失われていました
保険診療で対応していた頃
健康診療の入れ歯 留め金をかけられた歯から抜けがち
現在のAさん

ある日、Aさんから、「硬いものとまでは言わないけれど、痛くなる前のように噛みたい」、そして「食事で苦労せずに過ごすための治療の選択肢を全て聞かせてほしい」との言葉を頂きました。
これまで歯周病治療と健康保険の部分入れ歯で対応していましたが、次々と歯が抜けていくのを止めることは出来ず、歯は痛み、満足に噛むことができない状態でした。

そこで考えた治療法はこうです。
・予後の悪い歯はまとめて抜いて長く残る歯だけを残す決断をする。
・そして噛むための選択肢として
① 総インプラントに準じたブリッジ
② インプラントを使ったズレない入れ歯
③ ドイツ式入れ歯
の3つをご提案させていただきました。
共通する目標設定はもちろん噛めること。しかも「長持ちする噛める歯」にすることです。

Aさんとは、内容と費用について何度かお話し、上はドイツ式の総入れ歯、下はドイツ式のレジリエンツテレスコープ入れ歯をお作りすることにまとまりました。レジリエンツテレスコープ入れ歯は、少数の歯しか残っていないときに、残った歯に優しく丈夫で長く使えるドイツ発祥の入れ歯です。

治療はリハビリ入れ歯の期間を含めて約12ヶ月で終了しました。

初めは抜歯を行い、リハビリ用の入れ歯を使っていただきました。
この入れ歯で抜いた穴が治り傷口が平坦になって安定するまでを待ちました。
たまに入れ歯がすれて痛むこともありました。痛んだら急患対応で数回調整に来て頂きました。リハビリ用の入れ歯では入れ歯安定材を使っていたので、最終の入れ歯は入れ歯安定材なしで食べられるのか不安をお持ちだったようです。最終の入歯は安定材なしで使える旨をお伝えしておきました。治療中も、リハビリ用の入れ歯を使いながら、痛まずに食事ができるようになっていました。

予後の悪い歯は抜歯し、上は総入れ歯にした。
治療途中のレントゲン 神経を残すからこそ歯が長持ちします 
治療後のレントゲン 

粘膜が安定した10ヶ月目に最終の入れ歯の製作にかかりました。
4回の来院で入れ歯は完成します。

上はドイツ式の総入れ歯
適切に作った大きな入れ歯は 異物感も少なく しっかりと咬みしめても痛みが出ない
下の入れ歯は、残っている歯を守れるレジリエンツテレスコープ

最終の入れ歯を入れた感じは、入れ歯は落ちないし、ビシッととまってズレません。
入れ歯安定材も必要ありません。
はめるときよりも、外すのにかなり力がいるようです。ですが外す際に痛みもないし、かつての留め金式入れ歯のように歯が抜けてしまう心配も一切ありません。
治療を終えて、食べ物を選ばずに何でも食べれるようになり、おせんべいも食べれるし、焼肉も普通に咬めて楽しんでいらっしゃいます。ご家族と別メニューではなく同じメニューになりました。

銀色の内冠は 入れ歯を装着すると見えません。 
現在の入れ歯を装着したところ。留め金がないので 人に気づかれません

治療に際して、予後の悪い歯は抜く選択をしました。
後でお話しいただいたのですが、歯をまとめて抜いた時には、「えーーっ」とショックを受け、これで本当に咬めるようになるか不安になったそうです。
しかし今は痛いところもなく、お刺身のイカも食べれるし、何でも咬めるし、問題はないそうです。

【動画】ズレない、外れない入れ歯(負荷をかけて実験)

 

また、見た目については、入れ歯だと人にわからないようにしたいという希望がありました。保険診療の入れ歯のときは、入れ歯だとバレているんじゃないか?と不安があったからです。しかし今の入れ歯では、バレているんじゃないか?といった心配は無いようです。人から入れ歯だと指摘を受けたこともないそうです。

最終の完成した入れ歯を見て、歯が綺麗になっているので、ご家族から「歯が白くなっているやん」と笑いが出たということでした。

滑舌(しゃべりやすさ)についての不安もありました。とくにリハビリ入れ歯が入ったときは不安があり、仕事上で迷惑がかからないか気になったようですが、次第に慣れてクリアできました。
今は全く問題なく発音されています。

 

■治療期間と費用
・治療期間 12ヶ月
・治療費 今回のようなケースでは、上80万円~ 下160万円~ 相談に応じます。 

■リスクと副作用 
抜歯は外科処置であり、薬剤アレルギーや外科処置の一般的な偶発症のリスクがあります。
入れ歯ははじめ少し痛みが出ることがありますが、調整で対応します。
特にリハビリ期間中の入れ歯は完成義歯よりも安定が劣ります。
入れ歯の人工歯は経年的にすり減りますが、すり減り方は一般的な義歯よりも遙かに少なく丈夫です。

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