硬くて丈夫なセラミックが割れた!?
「ボンドでつけて」と言われたが…
15年来、当院にメンテナンスで通われている患者Uさん。男性です。
65歳で退職し、92歳のお母様の介護をされています。介護で忙しくされている中、夜中に洗面所で気を失い転倒。ぶつかってケガをされその場で朝までうずくまっていました。この際に歯が割れたのでしょう。
「先生、前歯が揺れている気がするんです。揺れていたら治してもらいたい。ボンドでくっつけてもらっていいですか?」 そういって来院されました。
診ると前歯のブリッジが折れていました。このタイプの硬いジルコニアセラミックを扱って10年になりますが、ジルコニアのブリッジが折れたのは初めてでした。Uさんは2年前に当院で上の歯列をまとめて8本が繋がったブリッジに治し、同じく2年前に臼歯にインプラントをし終えたところだったのです。
私はとても当惑しました。Uさんとしては簡単にボンドでつけて欲しいということです。でもそれでは一時的なごまかしの治療になってしまいます。かといってきちんとやり直せば大きな出費がかかります。Uさんはまだ67歳。せめて20年は自分の歯でしっかり噛み健康に生活していただきたいという思いで私は治療をしてきました。
外傷による損傷は保証の対象外ですが、長くお使い頂ける治療がしたかったため、「8本分全てやりなおすので、セラミック1本分の費用で良いので負担して貰えないですか?」と提案しました。Uさんから快諾を頂き、やり直しを行いまいした。3回で治療は終了し、元通りの歯になりました。今回セラミックブリッジが割れることで衝撃を吸収したので歯根は無傷でした。もしもセラミックが昔の裏側が金属フレームのセラミックブリッジであれば、ブリッジは折れず、歯根が折れ、抜歯になっていたかもしれません。
Uさんは、もともと昔に前歯を事故で損傷しており、その歯を騙し騙しで、何とかしのいでいました。前歯が奥歯を守る機能が弱く、つまり咬み合わせが原因で奥歯が痛くなって揺れては失われるを繰り返していました。次は前歯が壊れていく状況でした。2017年、65歳の時にお仕事の節目を迎えられ、当院で歯周病治療と被せもので上の歯列全てに介入することで、噛み合わせをお作りしました。インプラントは3本だけ利用し当時の治療は終了しています。
当院でインプラント治療を受けるに際して、周囲からいろんな言葉をもらったそうです。インプラントをしないほうが良いという方もいれば、した方が良いという方もいたそうです。中には1本20万円の激安インプラントをいれたという方もいたそうです。
Uさんのインプラントは1本45万円です。人工歯根とパーツ、かぶせ物を含めた費用です。20万円に比べると高いと感じたそうですが、当院を信頼し治療をされました。
インプラント治療を安全に行うには技術修得、設備、スタッフトレーニング、豊富な症例が必要になります。インプラントを必要とする方は咬み合わせがおかしくなっている方がほとんどです。治療の中で難度が最も高く予後に大きく影響を与えるのは、一人一人の咬み合わせを評価し、その方にとって最適な咬み合わせを与える技量です。また歯科技工士も非常に重要で、インプラントの知識だけでなく模型を読み咬み合わせを作る技量が最も重要です。技工では寸法精度や形や色ももちろん重要ですが、同じ価値観で咬み合わせを任せられる歯科技工士は極わずかだと感じています。このごく限られた歯科技工士に歯を作ってもらい、当院がインプラント治療を行うには相応の費用が必要となります。
話が脇にそれましたが、
治療を終えてUさんは「口元がきれいに見えることはいいね」とおっしゃいました。歯が綺麗なので、掃除もしやすく、歯を大切に扱おうという意識が芽生えたそうです。時間をかけられる時には歯間ブラシや糸ようじを使い、時間がなくても以前に比べ意識して磨くようになったとおっしゃいます。今では口の中はいい状態で“花丸”だそうです。
永井歯科ではインプラント・入れ歯・ドイツ式入れ歯に関する様々な情報をお伝えしています。
間違いのないインプラント治療を選択されてください。
■リスクと副作用
インプラントは外来での手術が必要です。高齢や持病によっては出来ない場合があります。清掃の不良があると天然歯の歯周病に類似したインプラント周囲炎が起こることがあります。
セラミックは割れることがあります。通常の使用で割れた際は保証の範囲で対応します。
■治療期間
10ヶ月
■費用
インプラント1本45万円。セラミック1本15万円。自由診療です。