症例紹介

歯医者さんに通ってボロボロになった患者さん

【case07】の症例
歯医者さんに通ってボロボロになった患者さん

ずっと歯医者に通っているのに、どんどん歯が悪っていく…というご相談を受けることがあります。一箇所を治しても、また別の歯が悪くなったり、抜けたりして、年々お口の中の状態が悪くなってしまうのです。
そうならないためには、悪くなった箇所を場当たり的に治療するのではなく、お口全体を見て治療することが大事になります。

とくに多いのが、噛み合わせを考えずに治療した結果、別の歯が痛んでしまうケースです。私の治療ではありませんが、後輩歯科医師から相談されたケースをご紹介します。

「グラグラの歯があるので、その歯を抜いてインプラントを入れてもらえないですか?」というのが相談の内容でした。
私は、まず歯がグラグラになった原因を確認すべきだと答えました。歯が悪くなったからインプラントを入れる、という単純は話では解決しないことが多いからです。

この患者さんは、数年の間に何本もの歯が悪くなってしまっていました。歯周病でグラグラになって歯が抜けたり、歯の根っこが折れてしまったり、根分岐部病変(こんぶんきびょうへん)といって根っこの周りの骨が吸収されてなくなっている部分もありました。

何が原因なのか。
実はある治療が発端となって、そこから連鎖的に歯が悪くなっていることがわかりました。

話を聞くと、数年前にその後輩歯科医師がその患者さんの左上の歯にブリッジを入れているとのことでした。ブリッジにしたのは左上3~5番の歯、糸切り歯とその奥2本の歯でした。お口の中の写真とレントゲンから、すぐにそのブリッジの咬み合わせに問題があったと分かりました。
正しい噛み合わせでは、上下の糸切り歯同士がガイドになり、ほかの歯に不要な力が掛からないようになっています。しかしこの方は、糸切り歯同士があたらない咬み合わせになっていました。
つまり、左上の歯をブリッジにした際にガイドが変わってしまったことが、ほかの歯が悪くなった原因だったのです。本来なら、左上にブリッジを入れる際、上下の糸切り歯同士があたって奥歯が離れるような噛み合わせにするべきところです。しかしながらそれができておらず、奥歯ばかりに過大な力がかかり歯周病が局所的に進行してしまっているようでした。

お口全体の咬み合わせを深く考えずに詰めたり、被せたりしていると、このようなことは起こりやすいです。

このような不具合は、とくに保険診療において起こりやすいと私は感じています。

理由を3つ挙げますが、全て単価の低さに影響されています。

1つ目の理由は、製作される咬合器にあります。単価が低いためしっかりした精度の高い大きな咬合器が使えないことです。安価で小さな咬合器や、簡単なバネ式の咬合器を使ったり、あるいは咬合器を使わずに製作されることがあるため、咬み合わせがシビアに再現されれにくい一面があります。

2つ目の理由は、技工物(入れ歯、詰物、被せ物など)にあります。

保険診療では、単価が低いため、効率重視で短時間で大量に作られがちです。大きな技工所では組み立て工場のように、10人くらいの技工士が横に並んで右から左に自分の工程だけを終えたら技工物を次から次に隣の技工士に受け渡して行きます。材料も銀歯やプラスチックなど健康保険に適用されているものだけに限定されます。一方自由診療では、単価が適性なため効率重視で大量生産する必要はありません。一人の技工士がドイツのマイスターのように初めから最後まで1人の患者さんの技工物の製作に携わります。材料も限定されることはありません。世界中の一番良いと思う材料を使い、一番良いと思う方法で作るだけなので考え方がシンプルです。歯や歯列は一人一人、一本一本同じものはありません。歯は、全く同じものを大量に作る工業製品とは異なります。モノの費用は安いに越したことはありません。しかし安全や信頼、耐久性を求められるものを作るには適正な費用があって然りです。歯科技工はコストを抑えた大量生産には向いていません。

3つ目の理由は、「正しい咬み合わせの知識と技術水準」です。正しい咬み合わせの知識と、咬み合わせを作る技術水準は非常に重要です。しかし、私も歯科医になって数年間は、正しい咬み合わせの知識を持っておらず、そのため治療がやり直しになったこともありました。咬み合わせの知識と技術水準は大学教育だけでは習得できません。咬み合わせは、海外でも日本においても、大学卒業後に専門的な教育を受けることやスタディーグループで学んだり、トップが正しい咬み合せの知識を持ち実践している環境に身を置くことで身につきます。身につけても技工物が健康保険だと、2つ目の理由から技量をなかなか発揮し難い面があります。また健康保険の治療ばかりに携わっていると、技工を含めて医院全体のレベルが健康保険の治療が基準になってしまうので、せっかく自由診療をしても材質が違うだけで精度も咬み合わせも健康保険レベルになりがちです。

後輩には、まず左上のブリッジをきちんと作り直してお口全体の咬み合わせをつくること。また、歯周病治療を行い、歯ぐきの状態を改善してからインプラント治療を考えることをアドバイスしました。

歯医者に通っているのに、歯がどんどんボロボロになっていく…。そんなことがないよう、お口全体をしっかり見て治すことが大切だと改めて感じた一件でした。


永井歯科ではインプラント・入れ歯・ドイツ式入れ歯に関する様々な情報をお伝えしています。
間違いのないインプラント治療を選択されてください。

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